2010 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険施設で働く看護師の倫理的感受性を高める教育方法の開発
Project/Area Number |
21792331
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
藤野 あゆみ 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (00433227)
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Keywords | 介護保険施設 / 倫理的感受性 / 教育方法 |
Research Abstract |
介護保険制度の開始後、身体拘束禁止の明文化や高齢者虐待防止方の制定に伴い、介護保険施設を取り巻く倫理的価値の対立状況に目が向けられるようになってきた。看護師が介護保険施設の倫理的価値の対立状況をとらえて論理的に推論し、状況を改善できるような働きかけをするためには、介護保険施設の日常場面に倫理的問題が存在することを知り、それを敏感にとらえる倫理的感受性が必要である。しかし、看護師は日常の様々な問題を看護倫理上の問題ととらえる視点が弱いと指摘されるため、介護保険施設に特有な倫理的価値の対立状況を明らかにし、看護師の倫理的感受性を高める教育方法を開発することが必要である。 そこで、本研究の目的は、看護師が介護保険施設(特別養護老人ホームおよび介護老人保健施設)の日常場面で生じる倫理的価値の対立状況を看護ニーズと認識し、解決に向けた介入ができるようになるために、看護師の倫理的感受性を高め、解決方法を導く教育方法を開発することとした。上記の研究目的を達成するため、平成22年度は、介護保険施設の看護師が抱える倫理的ジレンマとその対処の特徴を把握することを目的として介護保険施設に勤める看護師20名を対象に半構成面接を行った。得られたデータを質的に分析した結果、介護保険施設の看護師は、入所者の安全を優先して行動を制限するべきか、それとも転倒のリスクを承知で入所者の自由を優先するべきかにジレンマを感じたり、何かを決める時に入所者自身の希望より、家族の都合や希望が優先される状況にジレンマを抱いたりしており、看護師は入所者の生活の様々な場面における倫理的な対立状況を見出していた。これらの倫理的な対立状況に対して、看護師は利用者にとって最善の選択ができるように、多職種を交えて話し合っていた。その一方で、利用者が倫理的な対立状況に陥っていても何もしない看護師もおり、倫理的な対立状況に気づいているにもかかわらず、自ら関与しようとしない看護師がいることが示唆された。
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