精神障害をもつ人への地域医療・福祉のチームアプローチに関する家族ケア研究

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21792333
• Research Institution: Okayama University
• Principal Investigator: 岡本 亜紀 Okayama University, 大学院・保健学研究科, 助教 (10413527)
• Keywords: 包括型地域生活支援プログラム / ACT / 精神障害 / 家族 / 質的記述的研究

Research Abstract

本研究の目的は、精神障害の人を対象とする包括型地域生活支援プログラム(Assertive Community Treatment : ACT)における家族ケアの実践内容を明らかにし、その効果と課題を顕在化することである。平成21年度は、現在ACTを利用している4事例の精神障害の人の家族を対象とし、本人の退院や地域生活に対する思い・態度について、インタビュー調査を実施した。調査参加の募集および同意に際し、ACT実施施設の研究協力代表者が事例を選定し、対象者としての調査協力の意思を確認した後、研究者がACTスタッフの家庭訪問に同行して直接、同意書を得た。調査の実施は別日に設定し、対象者と調査者の単独による半構成的インタビューを1回ずつ行った。4事例について、家族関係は、精神障害のある本人にとって両親が1、母親が1、娘が1、妹が1で、生活形態は本人と同居が2、別居が2であった。インタビュー内容について、「ご本人の様子はいかがですか」「ACTを利用されるようになった経緯を教えてください」「今のお気持ち、これまでのお気持ちについて教えてください」などに対して対象者に自由に語ってもらい、その内容をICレコーダーに録音し、後日、調査者が直接、逐語録に起こした。分析について、ACTを利用する精神障害の人の家族の思い・態度において、インタビュー可能な事例は少ないことから、研究デザインを理論的サンプリングを行わない質的記述的研究とし、平成22年度も継続して新規参加者を募集、調査を実施した後、グラウンデッドセオリーアプローチの手法を用いて行う予定である。また、ACTスタッフを対象に、家族ケアとしてどのようなことを行っているかについても調査する予定である。これらにより、家族の協働とACT実践の構成過程が明らかになり、精神障害の人の自己実現を目指した家族ケア方法の構築へ発展させることが可能であると考える。