Research Abstract |
本研究の目的は,生活習慣病の予防を目的とした特定保健指導において,どのような保健指導が参加者に望まれているのかを効率的に事前調査(デマンド調査)するための調査票をコンジョイント分析を用いて開発することである。また,実際に保健指導を受けた者(参加群)とそうでない者(不参加群)とで保健指導における選好が異なるかどうかを検討することである。 前年度の調査結果から選定した保健指導の参加に影響する5要因(実施形式,実施日,運動指導,食事指導,費用)について,特定保健指導参加群(29人)と不参加群(591人)とで保健指導におけ る選好を調査した。その結果,参加群では費用,食事指導,実施日,運動指導,実施形式の順に重視しており,最重視する費用とそれ以外の要因との差が6~8%と小さいことが明らかとなった。一方不参加群では,費用,実施日,食事指導,運動指導,実施形式の順に重視しており,最重視する費用とそれ以外の要因との差が20~21%と非常に大きいことが明らかとなった。また,各要因ごとの内容については,参加群,不参加群ともに,実施形式は個別指導,実施日は休日,運動指導は講話と運動実習,食事指導は講話と調理実習が最も好まれるという傾向は一致していたが,参加群ではその好みの度合いがいずれも非常に強いことが示された。これは,保健指導に一度参加することで最重視する費用以外の保健指導の選択要因として考えるようになることを示している。 これらの結果より,特定保健指導においては費用,食事指導,実施日,運動指導,実施形式について,参加者に事前に選好調査を実施し,それに基づいた保健指導を実施することが必要であることが示唆された。
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