2009 Fiscal Year Annual Research Report
病的賭博者家族の自助グループ参加による内面的成長過程
Project/Area Number |
21792348
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
齋藤 美紀 Kawasaki University of Medical Welfare, 医療福祉学部, 助教 (30515789)
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Keywords | 病的賭博 / ギャンブル依存症 / 家族 / 自助グループ / 依存症 / addiction / pathological gambling / self-help groups |
Research Abstract |
【研究目的】病的賭博者家族の自助グループへの参加による内面的成長過程を明らかにする。 【研究方法】1.対象者:自助グループまたは公共機関主催の家族会に参加している病的賭博者家族。2.データ収集:2009年9月~10月、半構成的インタビューガイドを用いた個別面接を1人1回実施した。3.分析方法:面接内容を録音、逐語録を作成し内容及び意味に忠実に逐次的に分析した。個人の体験を内容により分類した後、9名分のデータを内容の類似性に基づきカテゴリー化した。4.倫理的配慮:自助グループの代表者、病的賭博者家族への支援を行っている公共機関長と担当者に研究の趣旨を説明し対象者の紹介を受けた。本研究は研究機関の倫理委員会の承認を得て実施した。 【結果】1. 対象者の概要:3県にてデータ収集を実施した。女性9名、平均年齢49.1歳、病的賭博者本人との続柄は、妻2名、元妻2名、母2名、姉1名、娘2名であった。面接時間合計は10時間32分であった。 2. 分析結果:病的賭博者家族が自助グループ参加に至るまでの過程には、《病的賭博に付随する問題に集中している段階》《病的賭博への関心移行の段階》《無力を知る段階》《新たな居場所をみつける段階》の段階があった。 病的賭博に付随する問題には、借金と返済の繰り返し、家事をしない、仕事を辞める、部屋に閉じこもる、失踪、自傷行為、自殺をほのめかす等があり、9事例が何らかの家庭生活、社会生活の破綻と不安を体験していた。9事例とも外部への相談を最初に実施したのは、病的賭博者本人ではなく家族であった。 【考察】病的賭博者家族は、借金返済の肩代わりや本人の説得、家族間での意見調整、外部機関への相談等の試行錯誤や葛藤を体験していた。病的賭博者家族の生活と心身の状況は、続柄にかかわらず病的賭博者本人の言動の影響を受けており、家族が問題に巻き込まれていることが明らかになった。今後は早期介入支援体制の構築が必要である。
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