Research Abstract |
住民組織活動と保健師による支援の実態を明らかにすることを目的とした調査研究に取り組んだ。調査対象者は,全国の市町村保健センターと保健所に勤務する保健師とし,郵送法による自記式質問紙調査を行った。質問紙は,所属機関,性別,年齢,勤務形態,保健師経験年数(新任期・前期中堅期・後期中堅期・ベテラン期)などの回答者の個人属性,支援体制と保健師の認識の項目で構成した。結果として,全国の市町村保健センター及び保健所への送付数2,339に対して,777施設(回収率33.2%)からの返送が得られ,このうち919を有効回答とした。住民組織の名称は,健康推進会(健康づくり推進員,保健推進員含む)や食生活改善推進会などの,共通名称組織(53.0%)と,各地域のオリジナル名称組織(47.0%)とに分類できた。住民組織の発足年数を分析した結果,従来委員組織として位置づけられてきた住民組織は,今日では,行政主導ではなく住民主体へと再組織化していることを確認することができた。住民組織を構成するメンバーの数は,30人以上40人未満が最も多く,活動範囲では市町村レベルが44.0%と約半数を占めていた。これらに対する保健師の支援状況は「定期的に支援する(70.1%)」が「不定期に支援する(29.9%)」を上回り,年間支援回数は,10回以上15回未満が最も多かった。住民組織支援に関して保健師は,住民組織の機能性が高まることで地域全体の健康度が向上すると評価し,メンバーの活動意欲を重要視していることが明らかになった。また,保健師の経験年数が少ないほど活動意欲向上への支援についての達成度が低いことも明らかになった。本研究結果は,全国の行政機関から得られた結果であり,わが国の健康づくりに資する住民組織の動向を捉える重要な指標と考える。
|