2009 Fiscal Year Annual Research Report
運動器軟部組織における新しい造影超音波検査の有用性
Project/Area Number |
21800002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
船越 忠直 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特任助教 (10528334)
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Keywords | 運動器軟部組織 / 造影超音波 / 肩関節 |
Research Abstract |
本研究の目的は造影超音波を用いた運動器軟部組織血流評価のシステムを構築すること、およびこのシステムを用いて肩関節内の腱修復術後の組織治癒過程を微細血行動態から解明することである。H21年度は、第一期研究として本システムの有用性と若年者と高齢者の基準値を設定するために15名の両側肩腱板を対象に造影超音波検査を施行した。この結果、腱内血流は若年者で高齢者より有意に多いことが確認され、正常の腱内血流の基準値を設定できた。一方で腱の周囲にある滑液包は若年者、高齢者ともに腱より有意に高く両者に差はみられなかった。さらに構造的に破たんした組織と正常組織との違いを検討するために同じ年齢の非断裂腱と断裂腱の比較検討を行ったところ、両者に差は認められず、腱が断裂するか否かより年齢の因子が血流低下に大きく関与していることが確認された。本研究は、微小血流を反映させるために、複雑なステップを踏んでおり、超音波の技術と合わせて技術的な修得が要求されるため、検者間の再現性ではなく、同一検者内の再現性のみを検証した。結果はおおむね満足すべき結果であった。現在はこれらの基準値を元に、第二期研究である組織治癒過程における微細血行動態の変化を確認しているところである。これまでの結果は術後1か月で腱内の血流は有意に上昇し、その後2,3か月と経過するにつれて低下していく傾向が確認されている。統計学的な有意差を求めるためにさらなる症例の検討が必要である。現在のところ実験は予定どおりに進行している。
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