2010 Fiscal Year Annual Research Report
運動器軟部組織における新しい造影超音波検査の有用性
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21800002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
船越 忠直 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (10528334)
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Keywords | 造影超音波 / 腱板断裂 / 運動器疾患 |
Research Abstract |
本研究の目的は造影超音波を用いた運動器軟部組織血流評価のシステムを構築すること、およびこのシステムを用いて腱修復術後の組織治癒過程を微細血行動態から解明することである。平成21年度は造影超音波をもちいた年齢別の正常組織血流評価を行い本法が有効であることを示した。さらに、各症例の具体的な数値より必要症例数を15名と算出した。平成22年度は、対象患者に対して術前、術後1,2,3カ月での造影超音波による血流を確認し、修復腱内の4か所の関心領域(region of interest : ROI)を周囲組織として2か所のROIを設定し、ついでペルフルブタンを体重当たり0.015ml分計算し静脈内投与し10~20秒後、ROIの時間輝度曲線(time intensity curve : TIC)を計測する。コンピューター解析ソフトImage labを用いて造影前のバックグランウンドを差し引いた値を計算する。その結果、腱内での再血流化はおおむね術後1カ月がピークであったこと、腱内での血流分布に差がみられたこと、腱周囲組織(滑膜、骨)が腱内再血流化の供給源になっている可能性が示唆された。本研究は断裂腱が術前から術後まで、どのように再血流化をきたしていくかを示した初めての報告であり、これまで腱のような血管に乏しい組織では非常に困難であった再血流化を確認できたことは非常に重要な報告である。さらに、縫合方法の違いによる血流分布の違いは現在多く行われている力学試験とは全く異なる観点からの生物学的治癒に着目した研究として有効である。今後は、再血流化と組織治癒の関係について動物実験を用いた検討を行う必要がある。
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Research Products
(3 results)