2010 Fiscal Year Annual Research Report
自由意志にもとづく意思決定を可能にする神経機構の解明
Project/Area Number |
21800014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 和昌 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50548518)
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Keywords | 認知神経科学 / 脳波 / 経頭蓋磁気刺激 / 意思決定 / 自由意志 |
Research Abstract |
本研究は研究代表者が新しく提案し課題を用い,磁気刺激誘発性電位追跡システム(TMS-EEG)によって脳機能計測を行うことによって,意思決定の神経基盤を解明することを目的におこなった.本年度の計画は,実験の継続実施,データの解析,そしてそれらの発表であった. 本年度には,当初の磁気刺激の対象であった前頭葉だけでなく,頭頂葉に磁気刺激をおこなう実験も実施した.この実験においては,事前に記録した各被験者のMRI脳画像を用いることで,オンラインで磁気刺激の位置をモニタするシステムを導入し,より信頼性の高いデータを得ることに成功した.解析されたデータから,研究代表者は意思決定課題遂行中とくに視覚刺激の呈示直後の数百ミリ秒の間に,脳領域間の結合性がダイナミックに変化することを明らかにした.この変化は課題の難易度と被験者のレスポンスに依存していたことから,直面する課題に応じて前頭葉からのトップダウン信号の伝達効率が適応的に変化することが示唆された.さらにこの伝達効率の変化は,試行内だけでなく試行間においても課題依存的におこるという興味深いデータも得た.この試行間のダイナミクスが,被験者の課題遂行においてどのような意義をもつのかについては検討中であり,年度末現在においても多方面からの解析を続けている. 研究代表者は,これらの成果を日本神経科学会や北米神経科学会において口頭発表およびポスター発表した.年度末現在,これらを論文として発表することを目指し,執筆を進めている.
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