Research Abstract |
まず,解の支配領域を自己制御するS-CDAS法を開発した.解の支配領域制御法(CDAS)は,解集団の最適なパレートフロントへの収束性を高めることによって進化型アルゴリズムの多数目的最適化性能を高めることが出来る、しかし,十分な解探索性能を得るためには,解の支配領域を決定するパラメータを実験的に求めなければならない点と,得られるパレート最適解集合(POS)の多様性が低下する点に問題がある.これらを解決するために,S-CDASでは各目的関数の最大値を有する解を支配しない範囲で,それぞれの解の支配領域を自己制御することにより,CDASからパラメータを排除し,最適なバレートフロントに対する収束性と多様性を同時に満足する方法を実現した.これより,多数目的最適化に有効なアルゴリズムの利便性を高め,さらに意思決定者により多様な解を提示可能になった.次に,平成21年度に開発したパレート部分支配を用いるMOEA(PPD-MOEA)において,解探索中に獲得したPOSに対して,解の支配領域を拡大したCDASによってアーカイブする解を取捨選択する方法を開発した.これにより,より最適なパレートフロントに対する収束性が高いアーカイブ集団から,パレート部分支配による親選択を繰り返すことによって,さらに解探索性能が改善されることを明らかにした.また,これらの検討の中で,求めるべきPOSが目的関数の数の増加に伴って,解空間中に広範に分布することが明らかになった.解空間を満遍なく探索する場合,解集団中の遺伝子が多様化し,従来の遺伝的操作法の有効性が低下する.そこで,多数目的最適化に有効な遺伝的操作法を実現する目的から,交叉遺伝子量の制御(CCG)法を開発した.CCGは,交叉する遺伝子量をパラメータで制御する,実験の結果,多数目的最適化では交叉する遺伝子量を極めて小さく設定した場合に解探索性能が著しく改善され,親の遺伝子構造を破壊しにくい遺伝的操作法が多数目的最適化に有効であることを明らかにした.
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