2009 Fiscal Year Annual Research Report
議題遷移の可視化と修辞構造理論に基づく公的討議の意見構造化支援システムの開発
Project/Area Number |
21800024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
白松 俊 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 助教 (80548595)
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Keywords | 自然言語処理 / 議論支援 / コーパス / 修辞関係 / 合意形成 / 住民参画 / 書き起こし議事録 / 懸案事項共有化 |
Research Abstract |
21年度は,住民参画を促進する議論支援システム,意見構造化システムの実現のために特に重要な下記3研究項目を実施した. (a)修辞関係タグ付与機能の開発:簡便に意見を入力できるよう,Webブラウザから利用可能なチャットベースの議論支援インタフェースを試作し,ユーザが修辞関係タグを付与する機能を開発した.従来の修辞関係タグセットに加え,質問者が要求する応答タイプを明示するためのタグ(「根拠要求」,「例示要求」等)を導入した.これに基づく議論の適切性ルール(後述の(c))により,質問に明示的に答えていない応答を検出し,適切な応答を示唆する機能を開発した.また,公的討議の議事録への住民コメント付与に同機能を応用するため,対面の討議とWebを組み合わせた懸案事項共有化サイクルを提案した. (b)合意形成を導く修辞関係の解明:英語版Wikipediaの編集を議題とする小規模な議論コーパス(693発言,197発言者,627修辞関係)を作成し,「同意(agreement)」/「不同意(disagreement)」の直前に現れやすい修辞関係を統計的に調査した.その結果,同コーパスにおいては「同意」の直前に「根拠(evidence)」が現れる確率が最も高いこと,「不同意」の直前に「提案(suggestion)」が現れる確率が比較的高いことが明らかになった.この結果から,議論の適切性を判定するルール設計(後述の(c))のためには根拠に着目する必要があるという知見を得た. (c)議論の適切性ルールの設計:議論の適切性を判定して「噛み合っていない議論」を検出するために,根拠に着目した議論の適切性ルールを設計した.その応用例として,「根拠要求」に対して「根拠」関係を明示的に付与していないパターンを検出してシステムが根拠を促す機能と,「不同意」関係が付与された2つの発言に根拠が明示的に付与されていないパターンを検出してシステムが根拠を促す機能を開発した.
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