2009 Fiscal Year Annual Research Report
参加型モデリングに基づく大規模マルチエージェントシミュレーションの実現
Project/Area Number |
21800026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 悠 Kyoto University, 情報学研究科, 特定研究員(産官学連携) (50554979)
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Keywords | 大規模マルチエージェントシミュレーション / 交通シミュレーション / 参加型モデリング / エージェント処理系 / エージェント応用 |
Research Abstract |
本研究の目標は,参加型モデリングにより個人を詳細にモデル化したエージェントを作成し,それを用いて大規模な交通シミュレーションを実施することである.これを実現するために,本年度は以下の二つの課題に取り組んだ.一つ目の課題は,個々の人間の意志決定のモデル化である.一般に社会現象を分析するシミュレーションでは,環境に影響を与えた要因を調べやすくするため,KISS原理と呼ばれるようにモデルをシンプルに作ったエージェントを用いる.それに対して,情報システムを導入した時の人々の行動を調べるシミュレーションでは,人間の意志決定とシミュレーション結果の因果関係を推測できるエージェントモデルが求められる.現実世界の都市交通は環境が刻々と変化するため,ある交通状況に対する人間の振る舞いを調べたくても,その状況を生成することが困難である.そこで,本研究では,参加型シミュレーションにより周辺の交通状況に反応する運転操作ログの収集を行い,走行ログとインタビュー結果から被験者固有のモデル獲得を行った.二つ目の課題は,局所行動と広域行動を扱えるシミュレーション環境の構築である.従来の交通シミュレーションは,道路上の局所的な運転行動モデルを扱うものと都市上の広域的な経路選択モデルを扱うものに大別される.しかし,個々の人間の性質の変化や新しい交通システムの導入による人間の行動の変化が,広域の交通流に与える影響を調べるためには,これら2つのモデルを統合的に扱うことが求められる.そこで,一部の道路では運転行動モデルによる詳細な車両挙動を扱うシミュレーションを行い,残りの地域では抽象的な道路ネットワークを移動する簡易な移動シミュレーションを行うアプローチを採り,局所的な運転行動と広域的な経路選択の関係を扱うことが出来る交通シミュレーション基盤を構築した.
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Research Products
(6 results)