2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21800030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野口 泰基 Kobe University, 人文学研究科, 講師 (90546582)
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Keywords | 認知科学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒトの脳における視覚野の神経活動から安定的な視覚表象が形成される仕組みを探ることである。特に表象の「維持」という機能に着目し、長時間提示される定常刺激への脳反応に注目した。これら定常刺激に対する脳視覚野の神経反応はミリ秒単位で変動するダイナミックなものであるにも関わらず、実際にヒトが知覚する刺激の意識的表象は時間的に一定である。非定常的な神経反応から定常的な表象がどのように出来るのか、というのが基本的な問題意識となる。 この問題を探るため、今年度は脳波・脳磁図を用いた実験を計面・実行した。具体的には「定常刺激は提示されており、それを意識的に知覚している状態」と「定常刺激は提示されているが、それが意識的には知覚されない状態」という2つの状態を作り、両者の脳反応を比較した。前者は通常の知覚状態だが、後者は意識的表象を伴わない特殊な知覚状態(無意識知覚の状態)に相当する。よって、前者に特微的な神経反応が見つかれば、それは意識的知覚表象の発生・維持に直接関わる(意識と連動した)神経活動であり、「神経反応から意識的表象がどのように作られるのか」という当初の問題への答えとなることが期待される。さらにはその様にして単離された神経活動のパターンが一定のリズムに従って律動していれば、「研究の目的」欄に仮脱として掲げた「スナップショット説」を支持する結果となる。 本年度の活動実績として、まず上述の「無意識知覚の状態」を作り出すための実験的セットアップを整え(今回のように定常刺激を無意識状態に置くことは、心理物理学の特殊な技術・設備を要する)、実際に複数の被験者を対象として脳活動の計測実験を行った。その結果、ヒト脳の腹側高次視覚野に意識状態と連動した神経反応があることが示唆された。
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Research Products
(2 results)