2010 Fiscal Year Annual Research Report
動的ネットワークにおける自律適応的分散アルゴリズムの計算コストの削減に関する研究
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21800031
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山内 由紀子 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (10546518)
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Keywords | アルゴリズム / 自律適応性 / 高信頼性 / 安定性 / 計算量削減 / 分散システム |
Research Abstract |
本研究では,動的なネットワークを対象に,ネットワークの状況変化に対して出力を変化させていくという自律適応性と,ネットワークの変化が頻発しても安定した出力をユーザに提供するという安定性の2つの性質を同時に満たす分散アルゴリズムの設計手法を確立することを目標としている. 本年度は(i)故障耐性と安定性をそなえた分散アルゴリズムの設計手法について成果を得るとともに,(ii)無線アドホックネットワークや無線センサネットワークの制御・運用手法について初年度の結果を拡張し,実験評価等を行った. (i)については,故障計算機の最悪時の振る舞いを想定したビザンチン故障モデルを対象に,その影響の局所化により安定性を実現し,故障の影響からの自律的な修復を行う手法を提案した.この手法は,今まで耐ビザンチン故障自己安定アルゴリズムが設計できないと示されている問題の多くに適用することが可能である.また,計算機の一時故障後に分散システムが復帰する際の最適性を新たに提案し,最適な(つまり,効率のよい)復帰に必要な情報量を示した.つまり,効率よくシステムを復帰させつつ,計算量を削減できる限界を明らかにした.これら2つの成果は国際会議で口頭発表を行い,現在論文誌投稿準備中である. (ii)については,初年度に提案したアドホックネットワークのクラスタリング手法,センサネットワークでのデータ収集手法の実験評価を行った.これにより,いずれの手法もネットワークの状況変化や計算機故障に対して自律適応性と安定性をもつことを理論的,実験的に確認したこととなる.前者については国際会議で口頭発表を行い,論文誌投稿準備中である.
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