2009 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド筋症由来の筋萎縮に対する温熱刺激の効果と臨床応用の可能性を探る
Project/Area Number |
21800038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森本 陽介 Nagasaki University, 大学病院, 理学療法士 (40534409)
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Keywords | ステロイド / 筋萎縮 / 温熱刺激 / Hsp72 |
Research Abstract |
速筋線維優位の筋萎縮を呈するステロイド筋症は,速筋にHeat shock protein(Hsp)72を顕著に誘導する温熱刺激によって予防効果が得られる可能性がある.そこで,本研究ではステロイド筋症ラットに対する温熱刺激の影響を検討した.8週齢のWistar系雄性ラット15匹を,生理食塩水を投与する群(C群),ステロイド剤を投与する群(S群),ステロイド剤を投与し温熱刺激を負荷する群(SH群)の3群に振り分けた.実験終了後は長指伸筋を摘出し,H & E染色を施し筋病理学的所見の検索,ミオシンATPase染色を施し各筋線維タイプの筋線維直径の計測,抗Hsp72抗体を用いたWbstern blot法によりHsp72発現量の測定を行った.筋病理学的所見として,壊死線維は認められなかった.平均筋線維直径を比較すると,タイプI・IIa線維ともS群はC群よりも有意に低値を示したが,SH群とC群との有意差は認められなかった.また,タイプIIb線維の平均筋線維直径はS群が最も低値で,次いでSH群,C群の順に高値となり,各群間に有意差が認められた.Hsp72発現量において,SH群は他の2群より有意に高値を示した.S群,SH群はステロイド筋症の発症が確認され,S群とSH群の平均筋線維直径を比較すると,全筋線維タイプともSH群が有意に高値であり,温熱刺激はステロイド筋症に伴う筋萎縮の進行を抑制する効果があるといえる.また,この効果はタイプIIb線維に顕著であり,温熱刺激は速筋線維優位の筋萎縮に対して効果が高いことが示唆され,筋萎縮の進行抑制効果にはHsp72の機能が関わっていると推測される.
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Research Products
(2 results)