2010 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド筋症由来の筋萎縮に対する温熱刺激の効果と臨床応用の可能性を探る
Project/Area Number |
21800038
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森本 陽介 長崎大学, 病院, 理学療法士 (40534409)
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Keywords | ステロイド / 筋萎縮 / 温熱刺激 / Hsp72 |
Research Abstract |
速筋線維優位の筋萎縮を呈するステロイド筋症は,速筋にHeat shock protein (Hsp) 72を顕著に誘導する温熱刺激によって筋萎縮の回復促進効果が得られる可能性がある.そこで,本研究ではステロイド筋症を発症させたラットの実験モデルを用いてこの点を検討した.実験デザインとしては,(1)4週間ステロイド剤を投与する群(S群),(2)2週間ステロイド剤を投与した後,投与を継続しながら2週間温熱刺激を負荷する群(SH群),(3)これらの群の対照として4週間生理食塩水を投与する群(C群)の3群を設定した.実験終了後は長指伸筋を摘出し,H&E染色を施し筋病理学的所見の検索,ミオシンATPase染色を施し各筋線維タイプの筋線維直径の計測,抗Hsp72抗体を用いたWestern blot法によりHsp72発現量の測定を行った.結果,3群ともに壊死線維の出現や細胞浸潤などといった筋病理学的所見は認められず,平均筋線維直径を比較すると,すべての筋線維タイプともC群に比べS群,SH群は有意に低値を示した.したがって,S群とSH群にはステロイド筋症が発症していることが確認された.次に,S群とSH群の平均筋線維直径を比較するとタイプI・IIa線維においてはSH群が有意に高値を示したが,タイプIIb線維においてはSH群が有意差に低値を示した.また,Hsp72発現量においては,SH群がC群やS群より有意に高値を示した.これらのことから,温熱刺激はステロイド筋症を呈した骨格筋においてはタイプI・IIa線維の筋萎縮の進行を抑制する効果はあるものの,最も病態が顕著にみられるタイプIIb線維には効果はないと結論づけることができると思われる.そのため,今後はタイプIIb線維の筋萎縮に対する効果的な方法論について検討する必要がある
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Research Products
(3 results)