2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21800039
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
星 貴之 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (80537704)
|
Keywords | 触覚ディスプレイ / 空中超音波 / 音響放射圧 / バーチャルリアリティ / 非接触 |
Research Abstract |
超音波が物を押す現象(音響放射圧)を利用して、手のひらに非接触で触覚を提示するディスプレイの開発を進めている。今年度は既存の試作機を改良する指針を得るため、以下の3項目について調査・実験を行った。 1. 既存の試作機の性能評価 以前にも集束超音波のよる放射圧の分布や振動覚提示における周波数特性など試作機の性能評価を行なったが、用いたセンサが飽和して正しく計測できていなかった可能性に気付き、対策を施した上で再計測を行なった。その結果、これまで理論と一致しないと報告してきたものが、実はかなり相関が高かったことが判明した。これにより、放射圧分布を様々に変化させる場合にも、理論にもとづいて設計してよいことが示された。 2. 放射圧に伴う気流の調査 本手法による触覚提示では、ぐっと押される感覚の他に風が吹き付けるような感覚も生じる。触感を意図したとおりに提示するためには、そのような気流はできるだけ抑えることが望ましい。この気流の空間分布を調べるため圧力センサでスキャンしたところ、焦点付近で放射圧の揺らきが観測された。また線香の煙を用いて空気の流れを可視化したところ、媒質である空気が流れているこどかわかった。これらの性質から、気流の原因は音響流と呼ばれる超音波の非線形現象であることが推測される。今後、この気流を抑制する方法の開発を目指す。 3. 皮膚表面の振動計測 本手法によりどのような触覚が提示されるかを定量化するため、手指の皮膚表面の振動を計測するセンサを試作した。携帯性を高めるため指輪のような構造で、ゴムチューブを介して振動を取得する仕組みである。試作機は感度、精度ともに十分ではなかったが、これをもとに今後、ゴムチューブの弾性や長さなどの調節によってそれらの向上を目指す。本センサは触覚ディスプレイの評価のためだけでなく、商品開発の現場などにおいてアンケート調査に代わる触感評価の指標としての応用も見込まれる。
|