2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21800051
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
宮崎 美智子 玉川大学, 脳科学研究所, グローバルCOE研究員 (90526732)
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Keywords | 身体表象 / 発達 / 自己 / 認知科学 |
Research Abstract |
自己の身体イメージ(自己身体表象)を生成する能力は、他者理解や模倣による学習などを可能にする重要な認知能力である。本研究では主に体性感覚情報にもとづく自己身体表象に焦点を当て、身体表象地図を乳幼児がどのように発達させていくのかという問題について、発達科学・認知科学の両側面からアプローチした。具体的には、2歳児が示す自己像認知における探索エラー(気づかぬうちに前頭部に貼られたマークを鏡を通して取り除く際に、後頭部から探し始めるという不思議なエラー)に着眼し、エラーの認知的背景、また他者などの身体を自分の身体に対応付ける身体マッピングに必要とされる認知処理背景を追究することによって、体性感覚性の自己身体表象の発達過程の理解を目指した。 幼児・成人の行動実験を通じて、このエラーが(1)マークを前頭部に貼りつけた場合には、3割強の2歳児が探索エラーを示すが、顔面パーツ(鼻)に付けられた場合には生じないこと、(2)他者身体の前頭部のポインティングを参照させた際には生じにくくなること、また、(3)マッピング対象・角度を統制した身体マッピング課題を作成し、解剖学的な身体マッピングを求めたところ、マッピングに必要な反応時間・正答率が、マークを付与する身体部位・マッピング対象により異なることが分かった。これらのことから、探索エラーが幼児の自己身体表象地図形成における未熟性に起因する可能性と、身体マッピングが複数の処理系統に支えられている可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)