2010 Fiscal Year Annual Research Report
メニーコアCPU環境に適したアクセスコスト考慮型ファイルキャッシュ機構
Project/Area Number |
21800061
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上田 高徳 早稲田大学, メディアネットワークセンター, 助手 (90546863)
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Keywords | ファイルキャッシュ / ストレージシステム / オペレーティングシステム / データベース |
Research Abstract |
2010年度は2009年度に構築したアルゴリズムの問題点を改良し実機にて評価を行った。本研究の目標は、メニーコアCPU環境で深刻になるストレージボトルネックを軽減するため、キャッシュミスすると大きなアクセスコストが発生するファイルデータを優先的にキャッシュに残すことで総アクセスコストを削減し、システム性能を向上させることである。ここでアクセスコストが大きいデータとは、ランダムアクセスでファイルから読み込まれるデータのように、アクセスに長い時間が必要なデータである。いかにアクセスコストが大きいデータを自動的に識別し、総アクセスコストを小さくするかが課題になる。 2010年度はまず、標準的なデータベースベンチマークであるTPC-Hを主として、複数ベンチマークのファイルアクセスログを採取した。そして、アクセスログをもとにファイルアクセスをシミュレーションすることで2009年度に構築したアルゴリズムの問題点を調査した。その結果、現実のハードディスクの動作に応じて正しくアクセスコストの期待値の総和を最小化するには、構築したアルゴリズムでは不十分であることがわかり、モデルの改良が必要となった。モデルの改良に伴いアルゴリズムの計算量が増加したため、動的計画法に近似的な計算を導入することで計算量を削減することを目指した。また、アクセスコスト算出のために、ストレージにリクエストを発行してからデータが到着するまでのレスポンスタイムを利用してアクセスコストを推定する手法を開発した。改良したアルゴリズムを用いて実機による評価を行ったところ、TPC-Hベンチマークのスループットで5%程度、またマイクロベンチマークにおいても性能向上を確認できたが、実用レベルにおいて有意義と考えられる数十%以上の性能向上には至らなかった。
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