Research Abstract |
本研究では,水中運動によるADL能力の改善に影響を及ぼすと考えられる性別や年齢運動習慣,運動経験,心身機能などの個人的特性を調査し,それぞれの特性がどの程度水中運動の効果に影響を及ぼすかを検証することで,水中運動がADL能力の改善に対して有用である対象者の特性を明らかにする.本年度は,53名の要介助者を対象として,1回60分,週1回もしくは週2回,6ヶ月間の水中運動教室を実施した.水中運動教室前後に,形態・生活環境(性別,年齢,運動習慣,過去の運動経験,月経の有無,既往歴,家族構成,体の痛み,収入,身長,体重,体脂肪率,BMI,血圧)及び心身機能調査(ADL能力,下肢筋力,柔軟性,バランス能力,敏捷性)を実施し,ADL能力の変化とその他の個人的特性との関連性を,重回帰分析を用いて検討した.その結果,水中運動によるADL能力の変化と介入前の移乗移動能力及び職業の有無との間に有意な相関関係が認められた.これらのことから要支援,要介護1レベルの軽度な要介護者においては,移乗動作能力が低い者ほど水中運動によるADL能力の改善が期待できると考えられる.また,職業など日常生活での役割を有する者は活力が高いため,運動に対して積極的に取り組んだ可能性がある.これらのことから,水中運動によるADL能力の改善には,要介助者の移乗動作能力及び職業(日常生活での役割)といった個人的特性が関係している可能性がある.しかしながら,サンプル数が少なかったことからR2値が低く,信頼性を高めるためには被験者数を増加することが必要であった.
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