2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中片麻痺患者の体力を制限する因子の特定-呼吸機能における検討-
Project/Area Number |
21800070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Health Science University |
Principal Investigator |
内田 学 Health Science University, 健康科学部, 助教 (80531475)
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Keywords | 脳卒中片麻痺 / 息切れ / 呼吸機能 / 連続歩行 / 中枢気道抵抗 / 体力低下 |
Research Abstract |
脳卒中片麻痺患者は急性期の管理で臥床を強いられることが多く、その期間が長期化することにより体力の低下をきたすという解釈が一般的になされてきた。患者の多くは息切れをきたすことによって活動が制限されているにも関わらず我々理学療法士を中心とした医療関係者はこの症状に対して体力の低下という判定をしている。過去の先行研究においても息切れに関する検討はなされていないため本研究は片麻痺患者の呼吸機能を中心に検討を行った。本年度は、片麻痺患者慢性期片麻痺患者を対象に息切れがある群と息切れがない群の2群間で身体特性、運動機能、呼吸機能における差異が存在するか比較検討を実施した。身体特性として、身長、体重の2項目、運動機能特性として胸郭可動性、健側膝関節伸展筋力、Functional Reach、FIMの4項目、呼吸機能としてVC、TV、PEF、FEV1.0、ERV、V25、V50、V75の8項目を測定した。結果としては、身体特性、運動機能面においては有意差を認めず、呼吸機能におけるPEF、FEV1.0に有意差を認めた。PEFは中枢気道の抵抗性増大を意味しており肺内で行われた換気を呼出する際のtrappingを表す指標であり、FEV1.0がその量的な指標である。これらの結果から、呼吸苦を訴える片麻痺患者の疾患特性として、構造的な身体特性や運動機能に問題があるのではなく、呼吸機能における問題が明確になっているものと考えられる。これらの先行研究を基に、今年度は制限のあった中枢気道の抵抗性を改善させる治療介入を実施することで、呼吸苦を訴えている患者の「息切れ」に対する主観性の変化や、連続歩行距離、ADL参加状況、健康関連指標などを用いて呼吸機能への介入効果を検証することが今年度の研究課題である。息切れを生じる片麻痺患者の疾患特異性として中枢気道に制限をうける因子の特定を行い、適切な介入を実施することでより効果の得られる介入手法を構築できるものになると考えている。
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Research Products
(1 results)