2009 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド前駆体タンパク質細胞内輸送に対する脂質代謝の関与メカニズムの解明
Project/Area Number |
21800075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
浦野 泰臣 Doshisha University, 生命医科学部, 助教 (00546674)
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Keywords | アルツハイマー病 / 脂質代謝 / 酸化コレステロール / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
本年度はアミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein、APP)の細胞内輸送について、小胞体からゴルジ体までのin vitro vesicle transport assayの構築を目的として、条件検討を行った。その結果、ヒトAPPが安定的に発現しているCHO細胞株をジギトニンで処理し、細胞膜に穴のあいた状態にしたセミインタクト細胞を用いて小胞輸送の再構成を行ったところ、良好な結果が得られた。すなわち、セミインタクト細胞にラット肝細胞質やATP再構成系/GTPなどを加え、37℃でインキュベートし、反応後、超遠心により出芽した小胞を回収し、Immunoblot法により評価した。その結果、COP-IIによって輸送されることが知られているERGIC-53やsec22bは、時間依存的に小胞画分に回収されていた。一方で、小胞体局在膜タンパク質であるRibophorin Iは小胞画分には観察されず、反応中に小胞体の分解は起きていないことを確認した。この結果から、本条件下において小胞体からのCOP-II小胞の出芽が再構成されていることが確認された。この条件下でAPPの小胞への移行を解析したところ、小胞体に存在していたと考えられる未成熟なAPPが時間依存的に小胞画分に回収されることが確認された。またAPPやERGIC-53、sec22bを含む小胞の出芽はATPおよび細胞質に含まれる可溶性タンパク質依存的であった。以上の結果から、セミインタクト細胞を用いたin vitro assayによりAPPの細胞内輸送の再構成系の構築に成功した。今後はオキシステロールがAPPの細胞内輸送に与える作用メカニズムについて解析を進めていく予定である。
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