2010 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド前駆体タンパク質細胞内輸送に対する脂質代謝の関与メカニズムの解明
Project/Area Number |
21800075
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
浦野 泰臣 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (00546674)
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Keywords | アルツハイマー病 / 脂質代謝 / コレステロール / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
アミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein、 APP)の細胞内輸送におけるオキシステロールの影響について、昨年度構築したin vitro vesicle transport assayを用いて検討した。その結果、脳特異的オキシステロールである24S-hydroxycholesterol(24S-OHC)を細胞に24時間処理すると、濃度依存的にCOP-II小胞へのAPPの移行を阻害した。また別のオキシステロールである25-OHCや27-OHCでも同様の阻害効果が確認されたが、LXR合成リガンドであるT0901317は阻害しなかった。そこでELISA法により24S-OHC処理後の培地中のAβ量を測定したところ、濃度依存的にAβ産生量が減少することが確認された。また25-OHCや27-OHC処理でもAβは減少していたが、T0901317では減少していなかった。一方、全長APPは24S-OHC濃度依存的に増加していた。以上の結果から24S-OHCがCOP-II小胞を介したAPPの初期輸送を阻害した結果、Aβ産生酵素が存在するオルガネラにAPPが到達せず、Aβ産生量が減少する可能性が示唆された。また、その効果は24S-OHCが持つLXRリガンドとしての作用以外の効果によると考えられた。そこで24S-OHC処理時にAPPと直接結合する、または結合が外れるタンパク質を同定することを目的として、抗APP抗体を用いた免疫沈降法を行った。24S-OHCで24時間処理した細胞からNP-40を含む溶解液により全タンパク質画分を調製し、抗APP抗体と共沈したタンパク質をLC-MS質量分析法により同定した。その結果24S-OHC存在下でAPPとの結合が増加するタンパク質を複数同定した。今後これらの候補タンパク質について解析を進めていく予定である。
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