2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21800079
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岡田 理恵子 近畿大学, 医学部, 博士研究員 (60550910)
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Keywords | 失語症訓練 / ヒント効果 / fMRI |
Research Abstract |
本研究は、失語症者の言語データを詳細に記述するとともに、脳機能イメージングや脳波を用いて言語機能のネットワークを解明し、かつ言語聴覚療法に科学的根拠を提唱することを目指すものである。昨年度はfMRIを用いて(1)仮名1文字からの語想起課題と(2)文中の空欄に合う語を想起する文完成課題施行中の撮像を行った。対象は、健常者7名(右利き6名、左利き1名)である。方法は、ブロックデザインで行った。解析にはSPM8を用いた。その結果、(1)では、左IFGに賦活が見られた。(2)では、左IFG(BA44、45)、左前頭前野に加え、7例中4例で右前頭前野、右44、45、右上側頭回で賦活が見られた。(1)の結果は概ね先行研究の結果に一致した。 本年度は、(1)、(2)に加え、(3)「動物」「食べ物」など、特定の意味カテゴリーに属する語の語想起課題施行中のfMRI撮像を行い、(3)との比較を行った。被検者が5名と少数であるため集団解析は行っていないが、(3)よりも(2)のほうが右半球の言語野対応部位がより賦活している傾向が見られた。これまでにカテゴリーからの語想起課題は音韻からの語想起よりも広範囲の部位が賦活することが指摘されている。本研究の結果から、文完成課題では意味カテゴリーからの語想起課題よりもさらに広範囲で、多くの場合右半球も関与することが示唆された。失語症の回復過程には右半球の賦活が関与すると言われており、文完成課題を訓練に用いることは失語症回復に有効な課題であると思われる。今後、(2)と(3)の差異を詳細に検討する。尚、本研究の内容は、本年度「ICCN 2010」と「高次脳機能障害学会」において発表を行った。
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