2010 Fiscal Year Annual Research Report
運動時に末梢性疲労が求心性信号として中枢神経系からの遠心性指令に及ぼす影響
Project/Area Number |
21800083
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
松浦 亮太 九州共立大学, スポーツ科学部, 助手 (10551278)
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Keywords | 筋疲労 / 非活動筋 / アルカローシス / 表面筋電図 |
Research Abstract |
近年、筋疲労研究において「末梢で起きた代謝変化が中枢神経系(CNS)へ求心性情報として伝わり、その情報に基づいたCNSによる遠心性指令の調節が筋疲労として顕在化する」という考え方が提唱されており、これまで多くの議論が重ねられているが、見解の一致は見られていない。これまでの研究では、CNSからの遠心性指令を疲労が誘発された筋の表面筋電図(SEMG)活動から検討していたため、SEMG活動の解釈が非常に複雑とならざるを得なかった。そこで平成21年度には、様々な運動強度での脚運動直後に行う腕運動時のSEMGを検討し、脚で起きた代謝変化と腕運動時の筋動員の関係を明らかにする試みを行った。平成22年度はそこから発展させ、脚運動前に重曹を摂取することで条件間の差を筋内pHに限定し、中枢性疲労や呼吸・循環系の影響を極力排除した状態で平成21年度と同様の検討を行った。 被験者は7名の健常男性であり、各被験者の70%VO_2maxに相当する強度で20分間の脚ペダリング運動を実施後、2分間の最大等尺性肘関節屈曲時における張力及び上腕二頭筋のSEMG活動を記録した。これらは、脚ペダリング運動前に重曹を摂取する条件(ALK条件)と偽薬を摂取する条件(CON条件)で行った。脚ペダリング運動前の血中pHはALK条件で有意に高く、脚ペダリング運動によって生じた血中乳酸濃度に条件間で有意差がなかったため、ALK条件では筋内pHの低下が抑えられていたことが推察される。脚ペダリング運動による酸素摂取量、心拍数、疲労感(全身・脚)には条件間で有意な差が見られなかった。脚ペダリング運動後の最大等尺性肘関節屈曲時における張力及びSEMG活動は脚ペダリング運動前の値よりも有意に低下していたが、値の推移に有意な差は見られなかった。これらの結果から、脚ペダリング運動によって生じる末梢性疲労を重曹の摂取で操作しても、非活動部の発揮張力およびSEMG活動に影響を及ぼさないことが推察される。
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Research Products
(1 results)