2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機-無機ハイブリッドナノ構造を誘起する機能性糖類系バイオマテリアルの開発
Project/Area Number |
21800086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Numazu College of Technology |
Principal Investigator |
山根 説子 Numazu College of Technology, 物質工学科, 助教 (00550477)
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Keywords | 有機-無機ハイブリッド / 糖 / リン酸カルシウム / DDS |
Research Abstract |
本研究は骨再生足場材料への応用を目指し、リン酸カルシウムナノ結晶の生成を促進する材料の調査、合成を行う。以前に疎水化多糖プルラン、疎水化多糖マンナンを核に用いてリン酸カルシウムと複合化させたところ、それぞれ単分散なアモルファスリン酸カルシウムナノ粒子、ヒドロキシアパタイトナノ粒子が生成したことを報告した。糖類およびカルシウムと親和性のある官能基が、リン酸カルシウムの形成に関与したことが示唆された。そこで、カルシウムイオンとの強い相互作用が期待される酸性多糖として、ヒアルロン酸(HYA)およびコンドロイチン硫酸ナトリウム(ChSNa)を足場に用いた。各多糖存在下、pH-gradient法にてリン酸カルシウムのミネラリゼーションを行った。複合化の条件は両多糖とも終濃度1.0mg・mL^<-1>、[Ca^<2+>]=2.0mMとした。複合化中、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて経時的に複合体の観察を行った。その結果、HYA存在下では複合化3時間後、ChSNa存在下では5時間後に共にヘリックス状の無機物が観察された。このナノ構造体は、カルボン酸を置換した疎水化多糖プルラン存在下で得られたナノ構造と非常に類似していた。また、電子回折像よりナノ構造体はアモルファスであることが示唆された。HYAのナノ構造体は複合化時間が経つにつれて無くなり、それに代わりヒドロキシアパタイト粒子が生成した。一方、ChSNaは時間が経つにつれナノ構造は見られなくなったが、ヒドロキシアパタイトでは無く非常にコントラストの薄いナノ粒子が観察された。酸性多糖の種類によってリン酸カルシウムのミネラリゼーションが異なることが示唆された。今後は酸性多糖の他に、ポリグルタミン酸などアニオン性官能基を有するポリマーを用いてヘリックスナノ構造体が得られるか、調査する。
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