2010 Fiscal Year Annual Research Report
in vivo慢性神経活動イメージングによる神経回路の動的再編成過程の観察
Project/Area Number |
21800091
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐藤 正晃 独立行政法人理化学研究所, シナプス機能研究チーム, 研究員 (90518325)
|
Keywords | 蛍光カルシウムバイオセンサー / トランスジェニックマウス / 二光子レーザ顕微鏡 / 記憶・学習 / 可塑性 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、神経回路活動をモニターするためのプローブとなる蛍光カルシウムセンサーGCaMP4を、マウス脳に安定して発現するモデル動物の確立を行った。 神経細胞に高レベルで外来遺伝子を発現することができるthy1プロモーターを用いてトランスジェニックマウスの作製を行ったところ、大脳皮質第5層と海馬CAl錐体細胞にGCaMP4を強く発現するトランスジェニックマウスが得られた。このマウスの背側海馬CAl野をウレタン麻酔下に二光子レーザ顕微鏡で観察したところ、GCaMP4、およびその下流に2Aペプチド配列を介して共発現させた赤色蛍光タンパク質DsRed2のシグナルをin vivoで観察することができた。さらにこの観察した海馬部位に、GABA作動性の抑制性入力を遮断するbicucullineを局所投与したところ、亢進した神経回路活動による細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が引き起こすGCaMP4の蛍光の増加が観察できた。このことは、トランスジェニックマウスで脳に安定発現させたGCaMP4がin vivoで神経活動のレポーターとして機能することを示している。トランスジェニックマウスは、ウイルスベクターやin utero electroporationなど他の遺伝子導入法とは異なり、個体ごとの遺伝子発現部位と量のばらつきがほとんどないことから、このマウスを将来のイメージング実験に用いることで、学習に伴う神経回路活動の変化を、高い精度で再現性良く観察することが可能になる。
|