2009 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷におけるリハビリテーション効果促進に繋がる分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
21800092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
森岡 和仁 Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities, 運動機能系・障害研究部, 流動研究員 (90551466)
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Keywords | リハビリテーション / 脳・神経 / 動物 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
申請者は当該年度、2種類の動物モデルを作成するために、Tail-suspention法のための特殊ケージの作成、実験の機序、懸垂が与える影響などについて基礎検討を行った。まず、リハビリテーション完全除去モデルを作成するための検討を行った。SDラットの第10胸髄に圧挫損傷を与え、後肢の荷重が回復する損傷後約7~14日目よりTail-suspention法にて脊髄損傷ラットの後肢挙上を開始した。経過中は自発運動を抑制せず、特殊ケージ内で2週間飼育した。後肢挙上による影響として、骨萎縮・関節拘縮について調べたが、明らかな所見を認めなかった。挙上終了後、通常ケージ内で2週間飼育し、脊髄・後肢の筋組織を採取した。通常ケージ内のみで同期間飼育した脊髄損傷ラットと運動機能・体重・筋量について比較検討した。後肢の運動機能は、挙上したラットにて痙性が増強し、運動機能評価(BBBスコア)が低下する傾向を示した。また、体重・筋量は、明らかな差を認めなかった。以上の結果より、急性期から亜急性期の期間、後肢の荷重感覚入力を挙上によって欠損させることにより、損傷後の運動機能回復に明らかな差異が生じる可能性が示唆され、リハビリテーション完全除去モデルの確立に近づくことができた。さらに、リハビリテーション負荷モデルを作成するために、損傷後4日目よりトレッドミル装置による歩行訓練を導入し、条件検討を行っている。申請者の以前の研究における経験より、次年度に予定している脊髄機能変化時の発現遺伝子の網羅的解析の成否については、比較解析に用いるサンプルの選定により大きく影響されることが想定される。つまり、臨床データに近い結果を得るためには、より適切な動物モデルが必須となり、運動機能評価にて大きな差が生じる条件を導き出す必要がある。引き続き検討を行い、妥当性を検証した上で、その後の解析に繋げていく予定である。
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