2009 Fiscal Year Annual Research Report
生化学ネットワークを用いたバイオコンピューティング
Project/Area Number |
21810004
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ロンドレーズ ヤニック The University of Tokyo, 生産技術研究所, 特任准教授 (10548770)
|
Keywords | DNAコンピュータ / DNA増幅反応 / 生化学ネットワーク |
Research Abstract |
この研究では,神経細胞ネットワークに見られるような,生化学反応に基づいた情報処理を行うことができる生体情報処理系をin vitro環境で開発するために,情報処理の基本単位となる生化学反応系を確立することを目的としている.とくに反応系としてDNA増幅反応に注目し,そのDNA増幅反応を利用して生体内で見られる遺伝子発現制御ネットワークのようなシステムをモデル化し再現することができる化学反応ネットワークを構築することを目標に研究を行っている.今年度はまず,ある反応ユニットからの信号によって他方の反応ユニットの機能を抑制する,あるいは活性化させるという化学反応ネットワークの一つとして,化学反応振動系を構築した.試験管の中で3種類の短いDNAと酵素を混ぜて反応させる.これらのDNAは,プライマーとして作用する短いオリゴヌクレオチドを交換することによって,互いが互いの反応を活性化させたり抑制させたりすることによって,動的なループ反応を起こす.ここでは蛍光色素による蛍光強度変化をモニターすることで,この化学振動反応現象を確認した.その結果,閉じた空間内で数時間にわたって(15サイクル)蛍光強度が振動する様子が観察,計測された.これはDNA増幅反応に基づいて論理的に設計した,in vitro環境における生化学反応ネットワークとしての最初の実証例であり,また,この結果は生化学反応ネットワーク振動系として非常に興味深い現象である.
|