2010 Fiscal Year Annual Research Report
MEMS技術を用いた可変サブ波長格子カラーフィルタの開発
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21810013
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 一浩 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助教 (90549346)
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Keywords | NEMS/MEMS / サブ波長格子 / ナノフォトニクス / CMOS集積回路 / 静電アクチュエータ / 構造色 |
Research Abstract |
本研究ではサブ波長格子に機械的変位を加えることにより,反射・透過光の波長を変調する新規なデバイスの提案・作製を目的とし,サブ波長格子を駆動するためのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)アクチュエータの構造設計,サブ波長格子の光学設計,および実際にデバイス製作を行った.可動サブ波長格子におけるアクチュエータ構造の解析を有限要素法により行い,共振周波数は300~500kHz程度が得られた.これは応答速度にすると数μsとなり,液晶と比較し2~3桁程度上回りディスプレー素子として十分な応答速度である.また,駆動電圧は数V程度で動作する結果が得られ,低消費電力化の可能性が示せた. デバイスの作製には,シリコン基板上へのサブ波長構造のパターニング技術の開発を行った.また,ナノスケールの機械素子を中空構造とする技術を確立し,アクチュエータの動作確認を行うことができた.作製したサブ波長格子可変フィルタは格子の幅は500nm,ギャップ400nmとした.初期状態では黄色を示していたものが,電圧供給によってギャップが変化し,緑色の反射光が得られた.この結果から,MEMSアクチュエータを用いて構造色を可変とするデバイスの原理検証に成功した.さらに幅とギャップを200nmずつと微細化したデバイスでは駆動電圧を5V程度にまで低電圧化することができた. 提案するサブ波長格子カラーフィルタは,LSI集積回路との一体化が可能である.集積化技術の確立により,配線輻輳やCMOS駆動回路の配線遅延の問題を解決することが期待できる.両者の製造技術の整合性を確認するために,前工程でn-MOS回路を製作し,後工程でMEMSカラーフィルタを集積化した.製作した駆動回路の動作を確認し,ポストプロセスによる回路劣化がないことが示せた.これより,ナノメカニカル素子と集積回路の異種機能集積化に成功し,構造色を可変とするMEMSアクチュエータの知能化に見込みを立てることができた.
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Research Products
(3 results)