2009 Fiscal Year Annual Research Report
スピンナノレーザに向けたスピン偏極電子集団の光学応答に関する研究
Project/Area Number |
21810017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
池田 和浩 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 助教 (70541738)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 応用光学・量子光工学 / 光物性 / スピンエレクトロニクス |
Research Abstract |
平成21年度は、実験的検討を前倒しし、ナノレーザ加工のためのナノ加工技術の開発および、ナノ加工が活性層中のスピン偏極電子に与える影響を実験的に調べた。金属を用いたナノレーザ共振器の作製においては、構造の主体となる半導体の形状制御が重要になる。今回、新たにHydrogen silsesquioxaneをべースとした電子線用ネガティブレジストを導入し、電子線描画の条件出しを行った後、ドライエッチングによるGaAs基板のエッチング形状、選択比を評価した。ガス流量を上げることにより10以上のエッチング選択比が得られ、5μm以上の深堀が可能であることが分かった。また、200nm程度まで高いアスペクト比でのポスト加工を実現できた。 次に、ドライエッチング加工のスピン偏極電子への影響を調べるために、様々なポストサイズに加工したGaAs(110)基板上多重量子井戸のキャリア寿命および電子スピン緩和時間を評価した。エッチング側面における表面再結合の影響によって、ポストサイズが小さくなるにつれてキャリア寿命が急激に短くなった。一方、電子スピン緩和時間については、ドライエッチングを施しても長い値を維持することが分かった。キャリア寿命が短縮される一方、電子スピン緩和時間は維持されることから、ドライエッチング加工によって、スピンレーザの発振光のより高速なスイッチングが期待できる。 また、スピン偏極した電子集団によるキャリアプラズマ効果および表面プラズモンポラリトンの光学応答を計算機シミュレーションするための、ワークステーションおよび電磁界解析ソフトウェアの導入を行った。平成22年度は、スピン偏極した電子集団によるキャリアプラズマ効果および表面プラズモンポラリトンの理論的、数値的な解析を行い、さらに平成21年度の成果を用いてスピンナノレーザの設計、作製にチャレンジする予定である。
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