2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21810027
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
勝田 忠広 明治大学, 法学部, 准教授 (80552463)
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Keywords | 原子力発電 / 使用済核燃料 / 再処理 / プルトニウム / サイト内乾式貯蔵 / 貯蔵プール / 最終処分 / 核不拡散 |
Research Abstract |
日本は現在、原子力発電の発生する使用済核燃料を再処理し抽出したプルトニウムを利用するという核燃料サイクルの確立を目指している。しかし、青森県六ヶ所村再処理工場の技術的トラブルによる操業延期や、高速増殖炉原型炉もんじゅの事故によってその実現性が危ぶまれている。それにも関わらず政府は、発生し続ける使用済核燃料の行き場として再処理工場は必要で、核燃料サイクルを国是として地方自治体は原子力発電導入を受け入れているために貯蔵プール内の燃料は運び出すしかないと示してきた。 この問題を解決するため、本研究では使用済核燃料管理問題のサイト内乾式貯蔵施設の導入効果とその課題及び解決策を求めた。初年度に行った技術的課題の整理と、国内の主要な利害関係者である地方自治体に対するインタビュー調査に続き、今年度は国内の地方自治体・研究機関・電力会社への調査及び米国の研究機関・NGOへの取材調査を行い、サイト内乾式貯蔵の日米比較を行った。その結果、以下が明らかになった。1.市町村と県との間に使用済核燃料管理に対する複雑な温度差があり配慮が必要である。2.地元は必ずしも政策変更について強い抵抗があるとはいえない。3.政府による再処理政策の必要性は、十分な根拠や定量的な評価がなく、地元の説明内容も恣意的に簡略化されている。4.米国の事例のように経済性重視の一方的で簡易な方式では地元に懸念も残される。5.2050年までの核燃料サイクルの数値計算シミュレーションを行った結果、再処理政策ではより管理が複雑で経済性が無く、問題解決に結びつかない。 本研究は今後、2010年から原子力委員会を中心として行われている原子力政策大綱の改訂作業等を通じて、有効に活用する計画である。
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Research Products
(2 results)