2010 Fiscal Year Annual Research Report
王制期エジプトにおける有力家系ネットワーク―その政策決定への影響―
Project/Area Number |
21810030
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 恵美 早稲田大学, イスラーム地域研究機構, 准教授 (00535437)
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Keywords | 政治 / 地域研究 / エリート分析 / エジプト / 中東 / 近現代史 |
Research Abstract |
平成22年度は、当初の計画通り、王制期1930年代の「株式年間」と「紳士録」、1952年農地改革対象者リストに関するデータベース3種類を完成させた。これらのデータベースをもとにしながら、主に農地改革対象者データベースを中心にして、ナセルによる農地改革が王制期の有力家系の大土地所有に与えた影響について分析した。その結果、政治改革の対象となり農地を接収されたはずの大地主が、縁戚関係間での結婚、子弟への相続、土地をワクフ扱いとして登録するなどにより、土地の接収から巧みに逃れていたことをデータを提示しながら証明した。これらの成果の一部は、東京大学東洋文化研究所紀要において「削除された歴史」として発表した。今後はさらにデータベースを活用しながら、この成果を発展させる予定である。 エジプトにおける聞き取り調査は2回実施した。1回目は人民議会選挙時で、2回目はエジプトにおける政変「1月25日革命」直後である。人民会議選挙時における調査では、地方に選挙地盤をもつ伝統的有力家系がどのような手段で地元民の票を獲得しているのか、またその対抗候補について、関係者に聞き取り調査を行った。エジプト政変直後の調査では、これまで与党支配の支柱となってきた伝統的有力家系が革命によりどのような立場におかれたのかについて、エジプト人研究者に聞き取り調査を実施するとともに、革命直後のエジプトの世論、世相について現地で出版されている文献を収集するなどした。
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