2009 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線トラック内における酸素および活性酸素の生成収量
Project/Area Number |
21810038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山下 真一 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (20511489)
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Keywords | 放射線 / 重粒子線 / 水 / 酸素 / スーパーオキシド / 高LET放射線 / トラック構造 / 気体分析 |
Research Abstract |
当該年度の交付申請時には、(1)「オンライン気体分析装置」の開発、(2)ガンマ線照射における水素の生成収量のオンライン測定開始、(3)ESRによるスーパーオキシド定量手法の開発、の三つを目標に掲げていた。 配賦が10月で実質的な研究期間が半年間と短く、全てを達成することはできず、主に(1)の気体分析装置の整備に取り組んだ。本装置は、フロー照射・分析・解析・遠隔制御という四つのシステムからなり、各々の構成および設定を最適化し、統合することに想定以上の時間を要した。これにより、(2)に着手することはできなかった。しかし、予備実験として非照射で微量の水素(100ナノモルあるいはそれ以下、1ccの気体中に濃度で数ppm程度含有される水素の量に対応)を検出することができたほか、再現性や定量の精度を向上させた。放射線分解で発生する気体は微量(モル量にして数マイクロモルあるいはそれ以下)であり、この程度の量の水素を再現性よく検出・定量できるように整備できたことで、放射線照射に対して本装置を適用する準備がほぼ整った。 (3)に関しては、ESR装置の導入および動作確認ができ、新規に開発されたスピントラップ剤CYPMPOを用いることで酸性の条件下では、ガンマ線照射で発生するヒドロキシルラジカル、パーヒドロキシルラジカル(スーパーオキシドのプロトネーションフォーム)、水素ラジカル(水和電子のプロトネーションフォーム)のCYPMPO付加体の信号を確認することができた。これにより、検出が困難な中性条件下でのスーパーオキシドなどの検出および定量に取り掛かることができるようになった。
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