2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21820011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 美季 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (60548642)
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Keywords | 琉球 / 家譜 / 個人史 / 国際関係 / 東アジア |
Research Abstract |
本研究は、16世紀末から19世紀後半にわたる琉球王国の国際関係を、この時代(以下「近世」と呼ぶ)の琉球に生きた人々の家譜(系譜)を主な史料として考察し、その特質を明らかにするとともに、その特質自体の歴史的意義を東アジア諸地域との比較検討の中から考察しようと試みるものである。この目的に沿って本年度は、沖縄県内各地に残る家譜史料の調査・収集を精力的に行い、基本的なデータの構築に努めた。また調査収集した家譜から抽出した数名の人物の「個人史」と「国際関係」の相関性について家譜を中心とした分析を行った。家譜の調査は主に、県内最大の家譜収蔵機関である那覇市歴史博物館と、戦禍を免れた豊富な家譜史料を収蔵する石垣市立八重山博物館で実施し、前者からは(1)日本との血縁的関わりを持つ家系と(2)対中・対日外交を担った人物を輩出した家系の家譜を、後者からは(3)本島士族との血縁的関わりを持つ家系と(4)漂流・漂着などで中国と関わりを持った人物を輩出した家系の家譜を、重点的に収集した。さらに(1)に関しては鹿児島県南部において、家譜内から抽出した諸人物の足跡を確認するための史跡・史料調査を実施した。その成果は2009年7月5日に大阪市立大学で行われた国際シンポジウム「前近代中国の中央・地方・海外を結ぶ官僚システム」の第二部「東アジア海域における国際交流と政治権力の対応」にて報告した。また(2)に関しては成果の一部を2009年11月22日に中国海洋大学(青島)で行われた第12回琉中歴史関係学術会議にて報告し、また論文二本にまとめて発表した。
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