2010 Fiscal Year Annual Research Report
開港期(1876~1894)における朝鮮の対日外交政策研究
Project/Area Number |
21820014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 裕美 大阪大学, 世界言語研究センター, 講師 (80547563)
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Keywords | 朝鮮史 / 近代史 / 開港期 / 外交史 / 対日政策 / 均霑 |
Research Abstract |
本研究の目的は、開港期(1876~1894年)における朝鮮外交の実態から、その独自の意図やメカニズムを解明する試みの一環として、1876年に締結された日朝修好条規以後、従来の方式とは異なって新たに展開された、朝鮮の日本に対する外交政策を分析することである。本年度は昨年度につづき、開港初期に大きな問題となった条約締結に注目して、ソウル駐在の各国公使と朝鮮政府の間で往来された文書が収録されている『旧韓国外交文書』(高麗大学校亜細亜問題研究所、1965年)や、近年編纂が進められている『近代韓国外交文書』(東北亜歴史財団、2009年)のほか、ソウル大学校奎章閣に所蔵されている多数の未刊行史料、イギリス外交文書などを精読・検討した。 その結果、特に整理すべき問題として、条約における最恵国条項をめぐる外交交渉が浮上した。ポイントとなるのは、(1)1882年締結の朝米修好通商条約に初めて朝鮮に不利な片務的最恵国条項が挿入されるに至った過程、(2)1883年締結の朝英修好通商条約が、それ以前に締結されていた日朝通商章程、朝米修好通商条約に添入されていた最恵国条項によって均霑される過程、以上の二点であった。 両者について現在論文を執筆中であるが、(2)については韓国歴史研究会近代史部会において研究発表「最恵国待遇をめぐる朝鮮外交の展開過程-朝英修好通商条約の均霑問題を中心に-」(韓国語)を行った(2011年3月18日、ソウル)。朝英修好通商条約研究が専門の韓承勲氏(高麗大学校・亜細亜文化研究所研究員)が討論者に立ち、開港期を専門とする韓国の多くの若手研究者が参加するなか、活発な議論が展開された。今回の論文執筆のみならず、今後の研究方向にも多くの示唆を得ることができる、貴重な機会となった。
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Research Products
(1 results)