2010 Fiscal Year Annual Research Report
中央アフリカ低地熱帯林における川の民と森の民の交流史に関する歴史生態学的研究
Project/Area Number |
21820018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大石 高典 京都大学, こころの未来研究センター, 特定研究員 (30528724)
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Keywords | tropical rainforest / folk forest classification / human impact / Baka / Bakwele / hunter-gatherers / ethnoecology / 人為植生 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、2010年7月初旬から8月初旬にかけてカメルーン共和国に渡航し、現地の共同研究者とともに現地調査を行い、総計20プロット、5haの森林植生について植生調査を行うとともに、狩猟採集民バカ人および漁労農耕民バクウェレ人の森林植生の認識に関する資料を得た。昨年度は定住集落跡やキャンプ跡などの人為撹乱の程度の大きい植生を対象に調査したが、今年度は自然植生の多様性に焦点を当てて調査を行った。また、狩猟採集民と農耕民双方で「小石分配法」(Pebble distribution method)による森林植生の利用価値(食料,住居、日用品、薪採集、…等の項目)に関して参加型調査を行った。バカ人は、森林を13種類以上の植生要素から少なくとも20種類以上に細かく認識していた(バクウェレ人においては、7種類であった)。植生認識の方法は、冠水の有無や.特定樹種の寡占、人為要因のほかに林内の明るさと林床の見通しのよさが挙げられた。林内の明るさに着目している点が、植物生態学者の森林認識と共通しており、そのため両者の森林植生の分類には共通する部分が多かった.その一方で科学的な植生環境とは全く異なる森林空間概念も見られ、定住化が進むバカ人社会に今もなお遊動民的心性が強く残っていることが示唆された。利用価値の評価テストでは、バカ人、特にバカ人女性において人の手の入っていない原生的植生への強い嗜好性が見られたが、バクウェレ人、特にバクウェレ人女性では逆の傾向、すなわち焼畑休閑地への強い嗜好性が見られた。2010年9月にはフランス、モンペリエで開催されたコンゴ盆地の狩猟採集民に関する国際会議にて本研究課題に関する研究発表2報を共同研究者のEvariste Fongnzossie氏(ヤウンデ大学)とともに口頭発表した他、英文論文1報をAfrican Study Monographs誌に投稿・受理された。現在、別の英文論文1報を投稿中である。
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[Journal Article] 若手研究者のウェルビーイングと対人関係2010
Author(s)
近藤恵、平石界、内田由紀子、大石高典
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Journal Title
男女共同参画に資する調査研究(GCOE Working Papers for reconstruction of the intimate and public spheres)
Volume: 5
Pages: 1-27
Peer Reviewed
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