2009 Fiscal Year Annual Research Report
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21820025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
福井 栄二郎 Shimane University, 法文学部, 准教授 (10533284)
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Keywords | 文化人類学 / 高齢者 / ヴァヌアツ / リスク / 老い / 近代化 |
Research Abstract |
1 問題の設定 本研究は「老いることのリスク」について、文化人類学的に探究するものである。現在、われわれの社会において「老いる」ことは、住居、貯金、健康、人間関係等、あらかじめ準備を必要とされる「リスク」となりつつある。だが世界の諸文化では、必ずしもそうではない。この差異は何に起因するのか。そこで文化人類学的な比較研究の必要性が求められる。 こうした背景のもとに、本研究では、(1)老いのリスクに関する文化的特性、(2)リスクへの対処、(3)老いのリスクに関する包括的な理論構築を目的とするが、本年度は年度途中からの開始となるので、主に調査に重点を置いた。 2 調査 上記、問題関心を踏まえ、2009年12月~2010年1月にかけて(約3週間)、ヴァヌアツ共和国・アネイチュム島にて現地調査を行った。具体的には、高齢者の役割に関するインタビューである。アネイチュム島では、高齢者は新生児の名付けに関わらなくてはいけないという社会的理念がある。しかし、伝統的な知識が忘失されるなかで、彼らの名付けの実践は大変困難なものであることが把握できた。 3 成果 得られた資料や知見は、2009年12月に広島大学で行われた日本文化人類学会中四国談話会において、「「オンリーワン」としての私を禁止する-ヴァヌアツ・アネイチュム島における個人名と親密圏」という題で発表した。またオセアニア地域の公共圏のあり方について論じた『オセアニアの多文化的公共圏(仮題)』のなかで、本研究の成果を執筆予定である。
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Research Products
(3 results)