2009 Fiscal Year Annual Research Report
韓国皇室の日本編入による天皇制の動揺に関する基礎的研究:王公族関連データの作成
Project/Area Number |
21820029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新城 道彦 Kyushu University, 韓国研究センター, 研究員 (40553558)
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Keywords | 日本史 / 王公族 / 李王職 / 李王家 |
Research Abstract |
第二代韓国統監に就任した寺内正毅は、韓国併合を「合意」として実現するために、韓国皇室の厚遇を約束することで韓国側の条約締結意志を引き出そうとした。その結果、韓国皇室は「皇族ノ礼」が保障された王公族として日本に編入されることとなる。この礼遇上は皇族であるが身分的には皇族ではない王公族という曖昧な存在の家務を掌つたのが李王職という宮内省の組織であるが、その編成や構成人員はいまだ明らかとなっていない。そこで、国立国会図書館所蔵の『職員録』、韓国国立中央図書館およびソウル大学中央図書館所蔵の『李王職職員録』を利用して李王職職員の一覧を作成した。 『職員録』とは日本の内閣印刷局で編集・発行された国家公務員に関する記録文書で、給料や官等などを含む名簿が記載されている。基本的に『職員録』の宮内省欄から李王職の職員一人一人の名や役職を知ることができるが、誤記などの記載ミスが多い。そこで『李王職職員録』を用いて可能な限り修正した。『李王職職員録』とは李王職庶務課が作成した李王職限定の職員録であり、『職員録』よりも正確に作成されているが、ほとんど現存していない。現在までの調査によって、韓国国立中央図書館に1911年9月、1914年7月、1915年4月発行のものが、ソウル大学中央図書館に1911年9月発行のものが所蔵されていることが明らかとなり、それらを入手して一覧の作成を遂げた。 一覧作成の結果、李王職の中には内地の女性とおもわれる人物(たとえば、三浦清子・黒川波江・徳田怜・中川糸・吉崎日美・山村翠)が数名含まれていることがわかった。内地から朝鮮に渡った官吏の中で女性は非常に珍しく、今後植民地官僚の研究を進める上でも注目すべき事実である。
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