2010 Fiscal Year Annual Research Report
韓国皇室の日本編入による天皇制の動揺に関する基礎的研究:王公族関連データの作成
Project/Area Number |
21820029
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新城 道彦 九州大学, 韓国研究センター, 研究員 (40553558)
|
Keywords | 韓国併合 / 王公族 / 李王職 / 李王家 / 天皇 / 皇族 / 寺内正毅 / 宮内府 |
Research Abstract |
これまで韓国併合時に日本に編入された韓国皇室(彼らは王族・公族という階級として冊立され、両階級を合わせて王公族と呼称された)を朝鮮統治や天皇制と関連づけて考察した研究は皆無に等しく、王公族の法的位置づけに関する研究や伝記類が数種ある程度である。そこで本研究では、(1)韓国併合時に王公族身分がどのように創設されたのか、(2)彼らを管掌した宮内省官僚である李王職には、どのような経歴の者が任命されたのか、この二点を解明することを目的とした。 (1)の課題に関しては、国立公文書館所蔵の『韓国併合ニ関スル書類 発電』『韓国併合ニ関スル書類 着電』を整理・分析し、韓国併合時に韓国皇室の処遇がどのように議論され、最終的に王公族がいかなる形で創設されたのかを明らかにした。(2)の課題に関しては、大村友之丞編『朝鮮貴族列伝』(朝鮮総督府印刷局、1910年)〈韓国学文献研究所編『旧韓末日帝侵略史料叢書13-社会篇4』亜細亜文化社、1985年〉、権藤四郎介『李王宮秘史』(朝鮮新聞社、1926年)、『在朝鮮内地人紳士名鑑』(朝鮮公論社、1917年)、有馬純吉『人物評論真物?贋物?』(朝鮮公論社、1917年)同『昭和六年版 朝鮮紳士録』(朝鮮紳士録刊行会、1931年)〈『韓国近現代史人名録』第3巻、驪江出版社、1987年〉、『朝鮮人事興信録』(朝鮮新聞社、1922年)〈『日本人物情報大系』第73巻、皓星社、1999年〉、秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』(東京大学出版会、2002年)、新聞記事などを利用してデータ化した。 結論として、寺内正毅統監が韓国皇室を皇族のように処遇することで韓国民を「感涙」させようとし、一方で皇族と区別することで宮内省の干渉を排除しようとしたため、王公族が皇族か否か曖昧な存在として創設されたことが明らかとなった。(2)に関しては、データを完成させ、ホームページ(http://shinjoh8m.web.fb2.com)にて随時公開している。
|