2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本語ピッチアクセントの産出と知覚にずれの起こる要因
Project/Area Number |
21820036
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉山 由希子 Keio University, 理工学部, 講師 (70525112)
|
Keywords | 日本語 / アクセント / 韻律特徴 / 音声産出 / 音声産出 |
Research Abstract |
本研究は、日本語ピッチアクセントの産出と知覚にずれが起こる要因を追究することにより、日本語ピッチアクセントに対する理解を深めることを目的としたものである。本年度の研究成果は、現在進行中のものも含めて、主に以下の3つである。 1.ピッチアクセント(以下、アクセントと称する)の物理的な特徴を更に詳しく調べるために、アクセントが音の長さに与える影響について調べた。これまでの研究では、日本語のアクセントが音の長さに影響を与えるのかどうかについては議論が分かれていたため、本研究では、従来の研究よりも多くの要因をコントロールしてデータを集め、音響測定を行った。その結果、アクセントのある音と無い音は、長さの点では統計的な違いはないことが分かった。研究の成果は雑誌論文として発表した。 2.音声学でよく使われる音声データの集め方について、その方法論の妥当性を検討した。博士論文では、音声学の実験ではよく使われるタイプのキャリア文を使ったが、被験者からは、文の意味が不自然になると発音しにくいというコメントが多々あった。そこで本研究では、意味ができるだけ自然になるキャリア文を使ってデータを集め、キャリア文の意味の自然さが発音に与える影響を検証することにした。何人かの言語学者と議論してキャリア文を考案し、現在、音声データを集めているところである。 3.普通に話された文からピッチを除去した音声を被験者に提示し、ピッチ以外にもアクセントを聞き取るための音声情報があるかどうかを調べる知覚実験の準備を進めた。日本語以外の言語では、ピッチを除去した音声を合成した先行研究はあるものの、ピッチを除去する方法については詳しく書かれていないため、工学者などと相談しながら、最も適切な手法を探っているとことである。
|
Research Products
(1 results)