2010 Fiscal Year Annual Research Report
ペルシア時代後期のパレスチナにおけるユダヤ共同体の社会経済階級構造についての考察
Project/Area Number |
21820038
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
魯 恩碩 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (70527142)
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Keywords | 旧約聖書学 / 聖書考古学 / 捕囚期以後 / ペルシア時代 / イスラエルの思想史 |
Research Abstract |
平成22年度は、本研究の最終の年であるため、ペルシア時代におけるユダヤ共同体の社会経済構造について活発な学術活動を行っている国際的研究者たちを招聘し、これまでの2年間の研究成果の集大成として、国際シンポジウムを開催した。イスラエルからDr.Avraham Faust(Bar-Ilan University)、Dr.Oren Tal(Tel Aviv University)、 Dr.Alexander Fantalkin(Tel Aviv University)の3人の世界的に著名な聖書考古学者を招聘し、守屋彰夫教授(東京女子大学)、佐野好則教授(国際基督教大学)、および研究代表者の計6名のパネリストがペルシア時代におけるユダヤ共同体とその周辺地域の社会経済構造について論文発表を行った。ペルシア時代は旧約聖書の形成において決定的な影響を与えた時代であるため、その時代におけるユダヤ共同体の社会経済構造を理解することが、旧約聖書学や聖書考古学において極めて重要な課題である。特に今回のシンポジウムでは、従来紀元前450年頃であるとされてきたモーセ五書の正典化が、実際は、紀元前400年頃に行われたのではないかという新しい仮説について様々な観点から、旧約聖書学者、聖書考古学者および歴史学者の間で、活発な意見交換や議論を可能にした大切な機会であった。今回のシンポジウムには、学外の聖書考古学者および旧約聖書学者が来場し、パネリストとの有意義な質疑応答も行われた。一般公開(2日間)の来場者数は、統計約70名であった。シンポジウム終了後に行われた6名のパネリストによるディスカッション・セッションでは、シンポジウムによって得られた新しい認識に基づいて、各パネリストが今年6月末までに原稿を完成し、出版することで合意し、現在準備を進めている。出版については、世界的人文科学出版社であるSheffield Phoenix Pressと出版契約をすでに結び、「From Judah to Judaea : Socio-economic Structures and Processes in the Persian Period」というタイトルで2012年の出版を計画している。
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