2009 Fiscal Year Annual Research Report
「ロマネスク期床モザイク研究-「ロマネスク」再考の試み」
Project/Area Number |
21820040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
金沢 百枝 Tokai University, 文学部, 准教授 (10548001)
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Keywords | ロマネスク美術 / モザイク / 床モザイク / キリスト教美術 / オトラント |
Research Abstract |
本研究の究極的目的は、ロマネスク美術の再考にある。床モザイクに焦点をあて、他の時代や地域の作品と比較・検討することで、ロマネスク美術がどの程度、そしてどのように「古代」を継承し、それを発展させたのか、明らかにすることを目的としている。具体的には、まずロマネスク期の床モザイクのリスト化、そして、古代、ビザンティンの床モザイクのリスト化を行う。今年度は、準備として、関係文献を購入し、またイギリスで文献調査を行った。 文献調査の結果、1970年代以降、この分野の進展はめざましく、想定以上多くの研究の存在が明らかになった。イギリスでの現地調査の折り、床モザイク研究で博士号を取得した研究者と意見交換する機会を得たが、ヨーロッパでも近年、注目が集まる分野で、ドイツ、フランス、イギリスの研究者による著書が出版される予定と聞いた。だが、リスト化はまだ誰も行っていないということもわかり、本研究の意義が確かめられた。また、イギリスでの文献調査の結果、古代ローマ時代のモザイクについては、すでにリスト化の試みがなされており、多くの出版物が存在することも知った。今後は、これらを購入、あるいは調査し、ロマネスク期の床モザイクとの比較を行いたい。 また、非キリスト教的な図像を解釈する試みとして、南イタリア、オトラント大聖堂に残るロマネスク期の床モザイクの作品研究を行っている。これについては、現地調査を自費で昨夏行い、本科研費で文献を購入した。これについても、複数の研究者が研究対象としていることを知ったが、未だこの図像プログラムの意味は解読されておらず、本研究では、身廊西側の「象」、動物たちに星座のような星が散りばめられていることなど、従来の研究では言及されていない点に着目し、その読解に取り組みはじめたところである。
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