2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者の流暢な読みに必要な意味処理の深さ:意味的逸脱に基づく研究
Project/Area Number |
21820042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
土方 裕子 Tokyo University of Science, 経営学部, 講師 (10548390)
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Keywords | 読解 / 意味的逸脱 / 意味処理の深さ / 英語教育 |
Research Abstract |
本研究の研究対象は,「日本人英語学習者の読解における意味処理の深さ」であり,文脈と読み手の読解熟達度の2要因に焦点を当て,自身の意味処理の深さに対する読み手の自己認識という観点から,流暢な読みに必要な意味処理の深さへの知見を得ることを目的としている。具体的には、(1)文脈の影響により,意味処理の深さは変化するのか、(2)L2読解熟達度が低い読み手が未知語を見つけた場合など処理困難性から生じる場合と,L1の読み手や熟達したL2の読み手が文脈に一貫性を仮定して処理が浅くなる場合では,同じ不完全な意味処理であっても質的な差が生じているのか、(3)自分の意味処理が不完全である場合,L2の読み手はその不完全性を認識できるか、の3点を明らかにすることが目的である。 平成21年度は,文脈との適合性を調整した上で意味的逸脱の検出率を測定する,Barton and Sanford(1993)によって開発された文章に修正を加え,日本語と英語がパラレルであるようなマテリアルを作成した。そして日英語の二言語において意味的逸脱課題を実施した(実験1)。全体的な意味的逸脱の検出率は第一言語よりも第二言語が低くなっていたが,文脈と適合しない語が意味的に逸脱している条件では,第二言語の検出率は第一言語のものに近くなっていた。また,英語母語話者を対象に開発されたBohan(2008)のマテリアルを日本人英語学習者に合わせた内容・文構造に書き換え,英語の語彙や構文も学習者用に書き換えた日英語のパラレル版を作成し,個別調査を実施しているところである(実験2)。これら2つの実験結果は,平成22年度秋の学会にて報告する予定である。
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