2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者の流暢な読みに必要な意味処理の深さ:意味的逸脱に基づく研究
Project/Area Number |
21820042
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
土方 裕子 東京理科大学, 経営学部, 講師 (10548390)
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Keywords | 読解 / 意味的逸脱 / 意味処理の深さ / 英語教育 |
Research Abstract |
本研究の研究対象は,「日本人英語学習者の読解における意味処理の深さ」であり,文脈と読み手の読解熟達度の2要因に焦点を当て,自身の意味処理の深さに対する読み手の自己認識という観点から,流暢な読みに必要な意味処理の深さへの知見を得ることを目的としたものである。 平成21年度は先行研究で使用されたマテリアルを日本人大学生用に書き替えた実験文で178名の大学生に対して実施したが,平成22年度はマテリアルをさらに統制し,より一般化できるように40セットの実験文に増やして精緻化された実験を行った。意味的逸脱は,Bohan, Leuthold, Hijikata, and Sanford(in submission)を日本人英語学習者用に改訂した項目を使用した。受験者にはあらかじめ,いくつかの実験文に意味的逸脱があることを伝え,逸脱の有無を判定したときの自信度を口頭で回答してもらった。意味処理の深さに対する読み手の自己認識を中心に据えて分析を進めた。 文脈の影響および読み手の読解熟達度の影響は21年度と同様の結果であった。L2の読み手も文脈の影響をL1と同様に受けること,すなわちL2でもL1と同様に一語一語処理するわけではないことが示された。そして,意味的逸脱の検出に失敗したときには自信度が下がることから,L1のみならずL2においても自分の読みの浅さを認識できることがわかった。 研究成果としては,著書の分担執筆においてshallow processing理論のレビューをし,実験結果は2011年アメリカ応用言語学会で口頭発表した。現在はその内容を,論文にまとめている。
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