2009 Fiscal Year Annual Research Report
後期ビザンティン(13~15世紀)におけるエレウサ型聖母子の受容
Project/Area Number |
21820050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菅原 裕文 Waseda University, 文学学術院, 助手 (40537875)
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Keywords | ビザンティン美術史 / キリスト教美術史 / キリスト教図像学 / 聖母子像 / エレウサ型聖母子像 |
Research Abstract |
本研究は「後期ビザンティン(13~15C)におけるエレウサ型聖母子像の受容」の一部をなす。本年度は特に(1)トルコ、トラブゾンにおける同時代作例の調査、および(2)新たに導入した調査機材の習熟に費やされた。 (1)次年度に調査を行う「マケドニア地方」(セルビア南部、旧ユーゴ・マケドニア共和国、ブルガリア西部、ギリシア北部)には後期ビザンティン(13~15世紀)の作例が数多く残されている。今年度の3月にトルコ、トラブゾンでの調査を敢行した。というのも、トラブゾンは第4回十字軍によるコンスタンティンのポリス占領(1204年)の後、有力貴族による亡命政権「トラブゾン公国」が建国された地であり、中期から後期にかけての作例が多数残されているとされるからである。しかしながら、現地に赴いてみて、大半のビザンティン聖堂は現在ではモスクに転用され、フレスコが残されているのは2聖堂に留まっていることが分かった。いずれも経年劣化が甚だしく、調査対象となるエレウサ型聖母子像は見いだすことはできなかった。 (2)他方、新規導入の調査機材では好結果を得た。トラブゾンは黒海沿岸にあり、一年を通して多湿多雨で曇りがちの地方である。3月でも毎日のように雨が降り、撮影条件は劣悪だったが、Nikon D700を用いて採光部が3箇所しかない小聖堂の中で高感度撮影を行った結果、三脚を使用せずに撮影を行うことができた。また14~24mmの広角ズームで撮影を行った結果、計画書に記したヴァーティカル・パースペクティブ装飾プログラム図を凌ぐ写真を撮影することができた。さらに無線LANによりノートパソコンのモニタ上でカメラを操作することで、より精密な写真を撮影することが可能になった。これらの機材の導入により、以前よりも遥かに効率的に高精度の写真を撮影することが可能になるだろう。
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