2009 Fiscal Year Annual Research Report
七代目市川団十郎をめぐる観客と贔屓の実態に関する調査・研究
Project/Area Number |
21820051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 涼 Waseda University, 演劇博物館, 助手 (70546150)
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Keywords | 日本文学 / 近世文学 / 日本史 / 近世史 |
Research Abstract |
申請者は、江戸歌舞伎役者七代目市川団十郎(寛政3年(1791)~安政6年(1859))と江戸社会との関係を解明するために研究を進めている。その中で本研究課題は、研究対象を、七代目を取り巻く観客・贔屓の実態に絞った。 本年度は、七代目贔屓である立川焉馬、大田南畝、式亭三馬等が創設した「連」に所属する人々が著した資料について調査・収集を目的とした。申請者が所属する演劇博物館では、七代目の江戸歌舞伎における評判や位付けを役者評判記から調査し複写した。館外では、京都府立総合資料館、東北大学狩野文庫、仙台市歴史民俗資料館、大阪府立中之島図書館に赴き『狂歌師評判記』、『三芝居役者細見』、『遡遊従之』等を閲覧・複写し、それらを翻刻した。科研費はこうした諸機関調査のための旅費・複写費に活用した。また、調査に必要なノートパソコン、ハードディスクやデジタルカメラ、プリンター等を購入し、消耗品として、七代目、大田南畝、立川焉馬、式亭三馬等に関連する書籍を中心に購入した。本年度分の予算の範囲内で江戸文人関係の資料は揃えることができた。 しかし近世後期の観客・贔屓の実態を示す前に、士農工商の身分に入らない歌舞伎役者を何故、いつ頃から江戸の人々が贔屓となり支援をしたのかという根本的なところから本課題に入った方が良いと考え、まず、歌舞伎成立の原点である芸能者の穢多頭矢野弾左衛門からの独立という問題を検討していった。関連資料として、(1)「小林新助芝居公事扣」、(2)「寛永年中御裁許義太夫節語候太夫弾左衛門与出入一件」、(3)「弾左衛門訴訟」、(4)「宝永年中公事一件写」があり、(1)と(4)は私費ですでに収集しており、(2)と(3)は東京都立中央図書館、無窮会神習文庫に今回赴き複写に科研費を充当した。収集した資料から考察した成果を、日本古文書学会大会で「『勝扇子』の伝来について」という論題で報告した。
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Research Products
(1 results)