2010 Fiscal Year Annual Research Report
七代目市川団十郎をめぐる観客と贔屓の実態に関する調査・研究
Project/Area Number |
21820051
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 涼 早稲田大学, 演劇博物館, 助手 (70546150)
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Keywords | 日本文学 / 近世文学 / 日本史 / 近世史 |
Research Abstract |
申請者は、近世後期の代表的な江戸歌舞伎役者七代目市川團十郎〈寛政3年(1791)4月~安政6年(1859)3月〉と江戸社会との関係を解明するために研究を進めている。本研究課題では、七代目を取り巻く観客・贔屓の実態に絞り、その解明に努めた。 最終年度の本年は、昨年に収集し、翻刻してきた七代目贔屓の立川焉馬、大田南畝、式亭三馬等の七代目支援に関する資料を整理し、学会大会報告ができるまでにまとめあげた。また、昨年度収集しきれなかった大阪府立中之島図書館や山梨県立博物館、成田山仏教図書館等の七代目贔屓関係の資料を収集し、翻刻した。科研費は旅費や複写に活用した他、収集してきた資料のプリントアウトに使用するプリンターインクや印刷用紙、資料に関連する書籍購入のために費やした。本年度分の予算の範囲内で、成果報告としての学会大会報告に結びつけるための準備を整えることができた。 成果報告は、2010年11月13日、地方史研究協議会第61回(成田)大会で、「七代目市川團十郎と成田不動信仰一文政四年額堂寄進を中心として一」という論題で報告を行った。文政4年(1821)5月、七代目は成田山に額堂建立(市川家の家紋に因んで「三升の額堂」と称される)のため、千両を寄進している。七代目の額堂寄進に合わせて、七代目贔屓の六樹園飯盛率いる狂歌作者集団「五側」も扁額を成田山に奉納した。この扁額は「四季混雑」と題されて、七代目や江戸歌舞伎、成田山に関するものなど、35首の狂歌が記されている。「五側」の扁額奉納から、贔屓が七代目と成田山についてどのような認識をもっているのか、贔屓の視点で捉えた両者の関係を検討していくとともに、成田山額堂を通して七代目と「五側」両者の結びつきを明らかにした。
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