2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国山西省山間部における資源開発と社会変容の関係:碑刻資料を用いた環境社会史研究
Project/Area Number |
21820067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
井黒 忍 Otani University, 文学部, 非常勤講師 (20387971)
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Keywords | 資源開発 / 環境変化 / 地域社会 / 碑刻資料 / 乾燥・半乾燥地域 / 水利用 / 信仰 / 環境社会史 |
Research Abstract |
具体的内容:当該年度においては、2010年2月27日より3月10日にかけて、呂梁山区南部の現地碑刻資料調査を実施した。調査地においては、水利・災害・信仰活動に関する碑刻資料を収集し、図書館・博物館において典籍および文物の調査を行った。また、研究協力者である山西大学中国社会史研究中心の張俊峰氏らと会議を行い、今後の調査計画を確定した。成果発表に関しては、半乾燥地域における天水農業の歴史的展開を明らかにし、自然環境と人間活動との歴史的な相互関係を探るため、2009年12月12日に開催された関西大学文化交渉学教育研究拠点第2回次世代国際学術フォーラムにて、研究発表「中国山西省東南部における祈雨祭祀の諸形態-天水農業地域の水認識と水神信仰に関する歴史学的考察-」を行い、論文を執筆した。また、環境変化に対する適応のあり方を地域社会の変容から読み解くという方法論に関しては、「消えゆく水と現れでる碑-環境社会史研究の可能性」を執筆し、中国環境研究拠点が発行する『天地人』に掲載された。 意義と重要性:本研究の対象地域である山西省西部呂梁山区については、国内外における歴史研究は極めて少なく、資料等に関する情報も極めて限定されたものであった。こうした意味において、今年度の現地には新たな資料の発掘という即効性のみならず、現地情報の収集や地理環境の理解という点において長中期的効果を見いだすことができる。特に山西大学中国社会史研究中心がこれまでに収集した資料に本研究課題と密接に関連する契約文書類が多数含まれること、さらに呂梁山区に関する最新の状況を理解することができた点は今後の研究遂行に極めて大きな意味を持つ。呂梁山区の地理条件から判断して、広域に亘る現地調査はかなり制限せざるを得ないが、こうした問題点は研究中心に所蔵される資料を用いることでカヴァーすることができる。
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