2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21820073
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
奥村 佳代子 関西大学, 外国語学部, 准教授 (10368194)
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Keywords | 唐話 / 中国語 / 唐通事 / 長崎 / 江戸時代 |
Research Abstract |
22年度は、次にあげる2つの成果を得ることができた。 第一は、『訳家必備』の解読が進んだ点である。江戸時代における日中貿易資料の実録としての一面も有していると考えられる『訳家必備』には、貿易用語や物品名など多くの専門性の高い言葉だけでなく、人名や地名などの固有名詞なども含まれており、日本史、中国史、日中交易史など多分野に亘る専門的知識が必要であるが、研究発表会での発表を通じて、各分野の専門家から貴重な意見を得ることができた。それによって、昨年度の研究成果であるおおよその時代設定の根拠が盤石になったと考えられる。一方で、その時代設定からずれていると見なさざるを得ない事柄が描かれていることも判明してきており、本資料の成り立ちを考える上で新たな側面を知ることができた。第二は、長崎唐通事による唐話資料の収集と、その翻刻である。今回、収集し翻刻をした資料は、関西大学図書館長澤文庫所蔵の「小孩児」「小学生」「請客人」「長短話」「閙裏閙」の5点である。これらはすべて写本資料であり、所蔵機関も限られている。従来あまり着目されてこなかった原因は、当該分野への関心の低さだけでなく、資料の閲覧の不便さもあったのではないかと考えられる。申請者は、この5点の影印と翻刻に解題を付し、さらに「小孩児」と「閙裏閙」は、早稲田大学図書館所蔵本との異同調査を試みた。5点の影印については、今後の唐話研究に資するものであると言えるだろう。
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Research Products
(4 results)