2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21820076
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大庭 卓也 久留米大学, 文学部, 講師 (20511661)
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Keywords | 国文学 / 学芸史 / 書誌学 / 思想史 / 貝原益軒 |
Research Abstract |
江戸時代前・中期を代表する儒学者貝原益軒(1630-1714)の著作・思想の形成過程を、学芸史的見地から明らかにすべく、貝原益軒の高弟で彼の著作執筆の手助けをした、福岡藩儒竹田春庵(1661-1754)旧藏の資料群(福岡県立図書館・九州大学附属図書館所蔵「竹田文庫」)を材料として、当該年度には以下の研究を行った。 1、益軒の刊本系著述の書誌学的研究 前年度に引き続き、江戸~明治期における、貝原益軒の刊本系著述の流布・普及状況を明らかにすべ、今年度は、福岡県立図書館「竹田文庫」中の春庵所蔵本、および九州大学附属図書館・久留米大学御井学舎図書館の蔵本に関して書誌調査、および収集データ全体に分析を加えた。また、益軒の刊本系著述の成立に大きく関わると思われる、益軒の読書記録『知約』(国立公文書館所蔵写本66冊)を複写のうえ検討を加え、研究に奥行きを持たせた。 2、益軒の春庵宛書簡1,166通の読解作業 今年度は、前年度に複写した、福岡県立図書館「竹田文庫」の益軒書簡を参考としながら、九州大学附属図書館「竹田文庫」の読解作業を実施した。これは、正確な読解を追求するため、申請者単独で行った。その結果、すべての書簡について、ひと通りの解読原稿を作成することができたが、全体にわたって難読箇所が多数残った。本研究計画の報告として、読解本文の公開を目指していることから、解読原稿の約200通に限定して、難読箇所の再検討、執筆年代の比定、註釈をつける作業を実施した。
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